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藍のその後。

いやはや、練炭には閉口しました。

練炭を使うのが初めてで、買った練炭がとんだ代物でした。14個中、10個使ってちゃんと燃えたのが2個。養生用練炭コンロが悪いのか、設置環境が悪いのか、着火の仕方が悪いのか、いろいろと可能性を考えて何度も試して・・・結局練炭を新しく購入したら、まったく問題なく使えた。という結論でした。ホームセンターに文句を言ったら、返金してくれることになりましたが‥

ことの発端は、6月あたまの冷え込みです。

数日、最低温度が5℃付近になりました。藍ちゃんの表情に明らかに元気がなくなったので、すぐさま練炭を入れたのですが、上記の練炭騒動。

そうこうしている間に、最低気温も10℃を超えて、日中の日差しを蓄熱して、日に日にリカバリーしていく藍ちゃん。持ち主の至らなさにも関わらず、ほんとうに健気です・・・

4月に穴を掘って、5月上旬に穴の中に甕を据えてから、織りのほうがひと段落着くまで染めないので、日照によって藍液がどの程度温まるのか、夜間どの程度蓄熱して朝何度くらいになるのか、など いろいろと観察しておりました。

それから、甕を移動したことで、藍液の中にたくさん空気が入ってしまいました。

以前、奈良にて開催された天然染料顔料会議で、藍の微生物について常盤 豊先生(生分解性プラスチックを主に研究されている)が、非常に面白い研究発表をされていました。発酵建ての藍液の中には たくさんの微生物(好アルカリ性乳酸菌)がいて、その中には嫌気性と好気性のものがいる。藍液の上層には、好気性好アルカリ性乳酸菌のHalomonas属がいて、中層~下層には、還元能を持つ嫌気性好アルカリ性乳酸菌のAlkalibacterium属などがいる、と。

さらに、Alkalibacteriumたちが発酵することで不溶性のインジゴを水溶性のロイコインジゴに還元してくれるが、その際に乳酸が生じる。しかし!好気性好アルカリ性乳酸菌のHalomonasたちが乳酸を食べてくれるという素晴らしい生態系がうまれているというのです。「もやしもん」(菌が見えるもやし(種麹)屋の息子が主人公のすばらしい漫画)みたいに肉眼で見えたらどんなに面白いだろうか・・・

つまり‥

藍液に空気がたくさん入ってしまったことで、嫌気性のAlkalibacteriumさんたちが かなりダメージを食らっているだろうと想像したわけです。

まずは数日なにもせずに静置、つぎに灰汁と貝灰でアルカリ環境を整え、発酵に必要な糖分(麩を煮たもの)を与えた後は、できるだけ空気が入らないように時々まぜるだけに留めました。

あとは、温度が25℃~30℃に保たれれば、かならずや「醸された」はずなのですが、練炭騒動の失態で、液温が20℃を前後するような状況、今一つ元気がない状態、でした。

が、微生物の世代交代がどのくらいかわかりませんが、1mlあたり10の5乗~8乗もの微生物が元気な藍液の中にはいるとか。想像もできない数ですが、とにかく ウヨウヨ!!いるわけです。

今まで、必要以上に撹拌したり、液温が低いのに染めてしまったり、無知によるいろんなダメージを与えてしまいましたが、その都度、数日でちゃんとリカバリーしてくれるたくましさが頷けます。

藍の穴小屋は、温室効果としては抜群です。最低温度が10℃前後のうちは練炭が必要ですが、液温が温まったところでアルミシートを甕に巻き、保温するとかなり蓄熱してくれます。できるだけ、練炭は補助的に、うまく日照を活用して液温を保ちたいと思いますが、もう少し慣れが必要です。

さぁ、7月からいよいよ染めさせてもらいます!

藍ちゃん、よろしくお願いします:)

空気が入らないようにまぜると華が咲かないので、ビジュアル的に物足りなく感じてしまうのは否めないですね...控えめに、華を作って…

はじめて景気よく燃えた練炭!

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